2025/3/20、板橋区立企業活性化センターさま主催、「中小企業のための生成AI活用講座」を開催させていただきました。
127名の方にご参加いただきました。ありがとうございます。→ セミナー詳細はこちら | マインドマップを拡大する
1. 概要とセミナーの目的
目的
生成AIツール(ChatGPT、Perplexity/Felo、NotebookLM)の機能や活用例を学び、自社の業務に取り入れる具体策を検討すること。
重要性
AIが情報収集や文章生成をサポートすることで、人間はより創造性の高い業務や戦略的な意思決定に集中できる。社内に蓄積された独自ナレッジこそが、競合との差別化を生む鍵となる。
2. 主要ツールの詳細と特徴
2-1. ChatGPT(チャットGPT)
概要:
「物知りな長老」のように幅広い知識を備え、質問応答や文章作成、要約、アイデア出しに活用できる。
主な活用例:
- 議事録作成・編集:音声データからテキスト化した内容を読み込ませ、要点を絞った議事録を自動生成。
- Q&Aの整理:社内FAQや会議のQ&AをCSV形式に整形して管理。
- 事業計画・補助金申請:会社概要のリライトや事業計画との整合性確認など、文案作成や整合チェックに利用。
- 面接対策・営業資料作成:想定質問の作成や課題解決シナリオの提案、ブログ記事のアイデア出しなど多岐にわたる。
2-2. Perplexity / Felo
概要:
「AI検索エンジン」として、最新のインターネット情報を検索し、直接回答を提示する点が特徴。
– Perplexity:グローバルな情報検索に強い。
– Felo:国産のAI検索エンジンで、日本語の情報、SNS検索に強みを持つ可能性がある。
主な活用例:
- 市場調査・競合分析:最新の業界動向や競合製品情報を、引用元を含めて効率的に収集。
- 顧客企業・評判調査:企業の基本情報やSNSでの評判を確認し、営業戦略に活かす。
2-3. NotebookLM(ノートブックLM)
概要:
「社内本棚」と呼ばれるように、会議議事録・営業資料・過去の報告書などの非公開情報を安全に蓄積・検索するためのツール。
主な活用例:
- 議事録生成:会議音声やテキストをアップロードし、決定事項やネクストアクションを箇条書きで抽出。
- Q&A作成・資料集約:過去の申請資料や顧客への提案事例を集約し、必要に応じて取り出せる形で保管。
- 展示会・イベントの準備:製品関連資料や想定質問を事前に蓄積し、不足や矛盾点を早期に把握。
3. 業務別 活用事例と活用フロー
3-1. 補助金申請プロセス
- 会社概要の整理:
ChatGPTで文案をリライトしつつ、NotebookLMに蓄積された自社情報を参照。 - 市場調査・SWOT分析:
PerplexityやFeloで最新市場動向や競合を検索し、NotebookLMの社内データと組み合わせてChatGPTに分析させる。 - 事業計画の作成:
ChatGPTでドラフトを作成し、社内の過去事例やノウハウをNotebookLMで参照して整合性をチェック。 - 面接対策:
ChatGPTに想定質問を作成させ、NotebookLMに蓄積した過去のQ&Aやノウハウで回答を精査。
3-2. 営業活動
- 顧客企業・業界リサーチ:
Perplexity/Feloで企業のニュースやSNS評判を収集し、NotebookLMに記録。 - 提案資料の作成・改善:
ChatGPTで既存資料を要約・再構成し、NotebookLMに蓄積された顧客ヒアリング内容と照合。 - 顧客の課題整理:
NotebookLMに保存された商談ログなどを分析し、課題解決のシナリオをChatGPTに生成させる。
3-3. 社内資料の改善・ナレッジ活用
- 既存資料のターゲット再確認:
ChatGPTに「資料の目的や顧客像をわかりやすく整理して」と依頼し、不足点や改善点を抽出。 - 顧客視点の追加:
NotebookLM内に蓄積された顧客のフィードバックを加味し、資料に反映。 - ナレッジの継続的蓄積:
新たな成功事例や失敗事例をNotebookLMに登録し、組織内で共有。
4. 社内ナレッジの重要性
- 独自情報こそ差別化の源:インターネット上の公開情報だけでは差別化が難しく、自社が培った知見を体系的に蓄積し、必要なときに取り出せる仕組みが重要。
- 共有と更新のサイクル:NotebookLMのようなツールを用いて日々の会議内容や顧客インタビューなどを集約し、メンバーがいつでも参照・更新できる体制を整える。
5. AIとの協働における考え方
- AIは補佐役、人間が最終決定者:情報収集や分析、文章生成はAIに任せつつ、最終的な判断や戦略的意思決定は人間が行う。
- 創造性と評価のバランス:AIが提示するデータやアイデアを活用しつつ、人間がそれらを批判的に検討し、自社に最適な形へブラッシュアップする。
6. まとめと今後の展望
- まずは小さな範囲から実践:議事録やブログ記事作成など、身近な業務で生成AIを試すところから始める。
- 社内・外部情報の連携活用:NotebookLMなどで社内の独自情報を蓄積しつつ、Perplexity/Feloを活用して外部情報をアップデートする。
- 持続的な改善とノウハウ化:導入後も成果を振り返り、成功・失敗事例を組織的に共有して成長サイクルを回す。
最終メッセージ:
生成AIとの協働は、私たちの働き方を変革する大きな可能性を秘めています。しかし、その可能性を十分に引き出すためには、自社が保有する知恵やノウハウをどのように扱い、活かしていくかが問われます。インターネットの公開情報だけに頼るのではなく、社内のナレッジを最適な形でAIに連携させ、常に「人間が価値を付加する」姿勢を維持することが、AI時代における真の競争優位を築く鍵となるでしょう。