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2024年10月3日

メタバースが失敗する5つの要素

メタバース ミーティング

 

メタバースが失敗する5つの要素

メタバースは新たなビジネスチャンスとして注目されていますが、成功するには多くの課題が存在します。特に「メタバース失敗」というキーワードが浮上する背景には、ビジネスとしての実現可能性が不安視されていることが挙げられます。本記事では、メタバースが失敗する可能性のある5つの要素を探りつつ、新規事業の成功確率との比較や、どのようにして成功の確率を高めるかを具体的に解説します。

 

1. 高すぎる期待値

メタバースは、新しい技術でありながら多くの企業や消費者に対して、過剰な期待が寄せられています。事実、テクノロジーの初期段階では過大な期待が生まれ、その後の失望がセットでやってきます。実際の新規事業の成功確率は一般的に10%程度であり、メタバースがそれを超える成功を収めるには、慎重な計画と現実的なゴール設定が必要です。パイロットプランを通じて少規模で検証を重ね、ユーザーのフィードバックを活かして段階的に成長させるアプローチが求められます。

日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2024年

出典:https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20240807-future-oriented-infra-tech-hc

ガートナー「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2024年」によれば、メタバースは幻滅期の終わりに差し掛かったあたりとされている。

 

2. 数字の可視化の難しさ

メタバースの最大の課題の一つは、Webサイトなどと比較してビジネス上の重要な指標を測定しにくい点です。通常のWebサイトであれば、トラフィック、コンバージョン、ユーザー滞在時間など多くの数字をすぐに把握できますが、メタバースではそのようなリアルタイムのデータ収集が難しい場合があります。しかし、Unityの機能やAPIリクエストを活用すれば、エリア別のユーザー人数、顧客フィードバック、ショッピングカート機能の統合など、ビジネスにおいて重要な数字を取得することが可能です。こうした技術をしっかり活用することで、運営者はより具体的なデータに基づいた改善策を打ち出せます。

3. ユーザー獲得の難易度

メタバースは、多くの技術的挑戦があるだけでなく、ユーザーを魅了し続けるために独自のアプローチが求められます。メタバースは一度開発したら終わりではなく、持続的なエンゲージメントが必要ですが、コストの問題があります。また、イベント時には人が来てもそれ以外は閑散としている「ハコバース」問題もあります。「イベント型」と割り切る場合は、それを前提にしたROI試算、長期的に顧客とエンゲージメントを目指す場合はパイロットプランでユーザーの反応を探り、ユーザーニーズや行動分析することが求められます。ユーザー獲得のためのマーケティング戦略や、他メディアとの連携が必要不可欠です。

4. メタバースである必要性の欠如

多くの企業がメタバースに参入する一方で、その存在理由が明確でないプロジェクトも見受けられます。WebサイトやSNSと比べ、メタバースで提供する価値が不明確であれば、ユーザーやビジネスパートナーの関心を引くことは困難です。メタバースの特性を活かした体験や、Webや他のプラットフォームでは提供できない独自の価値を提示する必要があります。また、メタバースを運営する際には、他のオンラインメディアやSNSとの連携を視野に入れ、クロスチャネルな戦略を採用することが効果的です。
弊社では、メタバースに「ゲーミフィケーション」はマストだと考えています。それは、人がユーザーと相対しないときでも、ゲームメカニクスがユーザー体験を提供し続けてくれるからです。AIやNPCの活用も同様です。

5. コストと技術的障壁

メタバースの開発には、多大なリソースと高度な技術力が必要です。これらのハードルを乗り越えるためには、しっかりとした事業計画と、継続的な技術開発が不可欠です。また、メタバースの運営には、継続的なメンテナンスとアップデートが求められるため、長期的なコスト負担が大きくなることも考慮する必要があります。初期投資だけでなく、将来的なアップデートやユーザーサポートの体制も事前に整えておくことが、失敗を回避するための鍵となります。

結論

メタバースが失敗する要因は多岐にわたりますが、ビジネスとして成功するためには、過剰な期待に惑わされず、着実に検証と改善を繰り返すことが重要です。特に、パイロットプランで小さく始め、ユーザーの行動を数字で追い、得られたデータを基に最適化を行うアプローチが成功への道です。メタバースという技術に依存しすぎず、他のメディアとの連携やコスト管理も忘れずに、長期的な視点で事業を進めることが重要です。